パリの日本人妻のぼやき

パリ郊外に住む30代主婦です。何か書いたり書かなかったり…。

私がPACSを薦めない理由(国際カップル限定)

私は3年前、国際結婚で日本からフランスに渡った。

 

なので、これは実体験ではなく、単なる選択肢として(そして周りからPACSをしている国際カップルを見て)何故薦めないのかを綴っていきたい。

 

f:id:LummyRX:20200915191435j:plain

 

では行ってみよう。

 

 

 

私がPACSを薦めない理由

最初に…

フランスは女性の社会進出が、日本と比較するとずっと進んでいて、しっかり自立した女性が沢山いる。なので、それぞれ経済的・精神的自由を手にしたカップルが「離婚のリスクから解放されつつも、家族を築きたい」とPACSを選択することについては、大いにアリだと思うし、むしろ先進的で対等でとてもカッコイイと思う。

 

メリットについては誤解を恐れずに言うと、「結婚と同等に税法的に優遇されつつも、別れる際に手続きに時間が取られない(更に、両者ではなく一方の申し出でOK)」ということだと思っている。

 

ja.wikipedia.org

 

今回、読み手として考えているのが、私のように①仕事を辞めて日本を発ち、②フランス語を一から学び、③すでにそのころアラサーで④学位を取ったりする予定もなく、⑤とはいえすぐに前職と同じだけ稼げる後ろ盾もないような方に向けて送る(超おせっかいな)メッセージである。

そして、先に一つ言っておきたいのが、この条件に当てはまるような日本人も、頑張ってPACSでフランスに住み、パートナーと生活を続けている方も沢山いる。特に、子供がいるカップルについては、滞在許可が下りるので、全く問題ないと思う。

 

理由①滞在許可の取得が大変

晴れてPACSを結び、「さぁ、VISA取って渡仏だ!」とはどうやら行かないらしく…。PACSの場合、契約締結後、一年以上の同棲が滞在許可取得の必要条件らしい。

なので、PACSを結んだ後は、大学や大学院への進学や語学学校への入学をし、次は学生VISAを取得。そして、一年後の滞在許可取得を目指し、学生としてフランスに滞在する…というパターンが多いとのことだ。

 

学生VISAを取得するには、一定以上の授業時間が必要になる。もとから学生に戻りたい人達は別として、そうじゃない人達には結構な時間&お金の浪費になってしまうのではないだろうか。

 

理由②別れるのが簡単(一方の申し出でOK)→自然とパワーバランスが生まれる

何度も言うようだが、お互いが自立していれば、こんなカップルの在り方も全然アリだと思う。もし子供ができても、それぞれが子育て&仕事を両立させることを前提に話しが進むだろうし、「何かを犠牲にして家族関係を構築・持続させる」ようなことから解放されるのは、近年晩婚化が進む日本なんかでも取り入れても良いとすら思う。

 

ただ、ここでのオーディエンスは全てを捨ててフランスに渡った、「経済力も、何の保証もない日本人」だ。

 

こんなにも対等な契約を結びつつ、「相手の言いなり状態」になってしまう人達が結構多い。PACS後、フランス語を一から学ぶアラサー以上の我々にとって、それまで日本で稼いできた収入を得るのは至難の業である。よって、どうしても経済的に相手に頼らざるを得ない。そして、そんな状態で3年も5年も住んでしまうと、日本に帰っても職を得られる保証もなくなってしまい、皮肉にも生きるためにはパートナー頼みの今の生活を維持することになってしまうのだ…。そうすると、どんどん言いたいことも言えず、相手を憎みつつも別れられない状態へと陥っていく。そもそものPACSの良さが、失われていくのである。

最後に

何か「金食いババア的」な文章になってしまうが、経済面については渡仏前によくお互い話し合ってほしい。

 

私たちは結婚をしたものの、婚前契約で夫婦財産別契約(séparation de biens)を結んだ。しかし、私としては、「日本を出るという機会損益を支払って結婚している」という前提なので、結婚後の財産は全て共有財産にしたいと申し出た。よって、①共有銀行口座を開設し②アパート購入も両名義としている。

 

理解力&問題解決能力が高い旦那に感謝はしているが、何よりちゃんと話し合いのできる相手で良かったと思っている。

 

国際結婚はそれでなくても、結構な賭けだと思う。大好きな彼女・彼と一緒になることはとても素敵なことだけど、将来のことは誰も分からない。だからこそ、相手を信じて話し合ってほしい。そこでちゃんとあなたの意見に耳を傾け、お互いが納得いく方法を選択できる相手だった場合、その後もきっと様々な問題を乗り越え、うまくいくはずだと私は信じている。ガンバレー国際カップルたち!